まず、iPhone側で元動画が再生できるかを確認してください。 PCで開けない理由はHEVCへの非対応だけではありません。転送の未完了、再生アプリ、映像の形式、回転情報などを順に確認すると、不要な変換を減らせます。
形式を調べるにはスマホ動画の再生修正ツールを使えます。ブラウザで処理するため、選んだ動画を当サイトのサーバーへ送信しません。ただし、大きな素材や端末の条件によっては処理できません。元動画は消さず、コピーで試してください。
変換する前に確認する3つのこと
- iPhoneで最後まで見られるか。 元の動画も途中で止まる場合は、PC向けの形式変換だけで修復できるとは限りません。
- PCに全体をダウンロードしたか。 iCloudの一覧や小さなサムネイルが見えることと、動画本体がPCに保存済みであることは別です。USBやiCloud経由でコピーし直し、長さやファイルサイズを確認します。
- 別の対応プレーヤーでも同じ症状か。 一つのアプリだけで起きるなら、そのアプリの対応形式や設定を確認します。会社・学校のPCでは追加アプリや拡張機能を入れる前に管理者へ相談してください。
不明なサイトから「コーデック一式」を入れるのは避け、OSやアプリの公式配布元を使ってください。Microsoftの説明も、再生問題のすべてがコーデック不足とは限らないとしています。
症状から次に調べること
| 症状 | 確認すること | 次の操作 |
|---|---|---|
| コーデックが必要と表示 | HEVCなど映像形式とアプリの対応 | 対応環境を確認し、必要なら変換 |
| 音は出るが映像が出ない | 別アプリ・映像形式・転送状態 | 症状だけでタグの問題と決めない |
| 横倒しになる | 回転情報を読むアプリか | 回転ツールで向きを見て調整 |
| 色が白っぽい・暗い | HDRと表示先の対応 | 単なる8bit化ではなく色変換を検討 |
| 途中で止まる | 元動画も止まるか・コピーが完全か | 元データと転送から確認 |
MOVは動画の入れ物で、HEVCやH.264は映像の圧縮方式です。拡張子を .mov から .mp4 に書き換えても、中の映像形式は変わりません。 H.264が入ったMOVも、HEVCが入ったMP4もあるため、名前だけで対応可否は判断できません。
Windows向けに変換するなら
再生修正ツールでファイルを解析し、Windows向けのH.264 / AACの変換を選びます。出力後は、受け手が使うアプリで冒頭・中間・最後を再生し、音・向き・色も確認してください。ただし、H.264 / AACでも、すべてのWindows環境で再生できるわけではありません。
HDRの動画には注意が必要です。10bitの映像がすべてHDRとは限らず、8bitに変換しただけでHDRからSDRへの適切な色変換が完了するわけでもありません。 色がおかしくなる場合は、HDR対応の編集アプリでSDRとして書き出すか、入力の色特性に合ったトーンマッピングを使います。FFmpegのtonemap説明にも入力の条件があります。
変換で容量が増える場合もあります。容量も減らしたいときは動画圧縮ツールで別途調整し、同じ動画を3設定で圧縮した実測比較を参考に見た目と容量のバランスを確認してください。比較に使ったのは実写映画の映像です。
縦動画だけが横向きになる場合
一部の再生アプリは、映像に付いた回転情報を読まないことがあります。ただし、回転情報の保存状態は撮影・編集・転送の方法によって違います。
動画回転ツールで現在の向きを確認し、必要な方向へ回転させます。すでに正しく表示されている動画へさらに90度を加えると、逆に向きがずれます。縦長かどうかではなく、実際に人や文字が正立しているかを見て判断してください。
今後の撮影で互換性を優先するには
対応するiPhoneでは「設定」→「カメラ」→「フォーマット」→「互換性優先」を選ぶと、新しく撮る動画にH.264を使えます(Appleの公式手順)。これは映像形式の設定で、必ず .mp4 という拡張子になるという意味ではありません。 過去の動画も自動で変換されません。
共有やUSB取り込みの方法によって形式が変わる場合もあります。撮影設定だけで判断せず、PCに届いたファイルそのものを確認してください。
よくある質問
HEVC拡張機能を買う必要がありますか?
必要かどうかはPCとアプリの対応状況によります。まずエラーに書かれた形式を確認し、公式の拡張機能が必要か調べてください。HEVC以外の問題には効果がありません。
hvc1に直せば黒い画面は必ず直りますか?
直りません。hvc1とhev1はHEVCの格納方法に関わる識別子です。HEVC自体に非対応の環境へ識別子だけ変更しても、デコードできるようにはなりません。
スマホだけで変換できますか?
ブラウザが必要な機能に対応し、十分なメモリがあれば処理できる場合があります。短いコピーで試し、処理が止まる場合はPCを使ってください。
PC版FFmpegを使う場合
次はSDR素材向けの互換性変換例です。HDRの正しい色変換や壊れたファイルの修復は含みません。出力は別名にし、元動画を残します。
ffmpeg -i input.mov -map 0:v:0 -map "0:a:0?" -vf "scale=trunc(iw/2)*2:trunc(ih/2)*2" -c:v libx264 -preset fast -crf 23 -pix_fmt yuv420p -c:a aac -b:a 128k -movflags +faststart output.mp4
映像の縦横を偶数に調整し、H.264の8bit 4:2:0へ変換します。最初の音声がある場合はAACに変換し、音声がない素材には音声を追加しません。FFmpegの既定の自動回転が働くため、別途回転フィルタを足す前に出力を確認してください。