FFmpegは、動画や音声の変換や加工に使えるツールです。オープンソース(プログラムの中身が公開されている)のマルチメディアツールとして、広く使われています。操作はコマンドで行います。画面で操作する動画ソフト(GUIツール)の多くも、内部でFFmpegを使っています。

FFmpegとは

FFmpegの「FF」は、もともと「Fast Forward(早送り)」の意味だと、開発を始めたFabrice Bellard氏が開発者向けのメーリングリストで説明しています。FFmpegは、動画・音声・字幕などの圧縮(エンコード)、展開(デコード)、変換、配信(ストリーミング)を行う、ライブラリ(ほかのソフトに組み込む部品)とコマンドラインツールをまとめたものです。

  • 対応フォーマット: MP4、MKV、WebM、MOV、AVI、GIF など100種類以上
  • 対応コーデック: H.264、H.265、AV1、VP9、AAC、MP3、Opus など
  • 動作環境: Windows / macOS / Linux

インストール方法

Windows

ffmpeg.org自体は、Windows用のビルド(すぐ使える形にまとめたファイル)を配布していません。公式ダウンロードページにリンクがある配布元(gyan.devなど)からダウンロードし、C:\ffmpeg\ などに展開します。展開したフォルダの中の、ffmpeg.exe が入っている bin フォルダを、環境変数 PATH に追加します。bin はバージョン名の付いたフォルダ(ffmpeg-8.1-full_build など)の中にあることが多いので、場所を確かめてから追加してください。PATHは、コマンドの置き場所をWindowsに教える設定です。追加すると、どのフォルダからでも ffmpeg と入力するだけで動きます。

コマンドプロンプトを開き直して次のコマンドを実行し、バージョンが表示されればインストールできています。

# インストール確認
ffmpeg -version

macOS(Homebrew)

Homebrew(macOS用のソフト管理ツール)で入れます。

brew install ffmpeg

Ubuntu / Debian

標準のソフト管理ツール(apt)で入れます。

sudo apt update && sudo apt install ffmpeg

基本的なコマンド構文

FFmpegのコマンドは、入力 → 処理 → 出力 の順に書きます。

ffmpeg -i 入力ファイル [オプション] 出力ファイル
要素 説明
-i 入力ファイルを指定する
オプション 圧縮の設定やフィルター(加工)など
出力ファイル 拡張子で出力の形式が決まる

よく使うコマンド

動画フォーマット変換

# MP4に変換(コーデックを自動選択)
ffmpeg -i input.mov output.mp4

# H.264 + AACで確実に変換
ffmpeg -i input.mkv -c:v libx264 -pix_fmt yuv420p -c:a aac output.mp4

動画を圧縮する

# CRFモード(23が標準、値が大きいほど圧縮率が高い)
ffmpeg -i input.mp4 -c:v libx264 -crf 23 -preset fast output.mp4

→ ブラウザで試すなら動画圧縮ツール。コマンドの詳細は圧縮コマンドの解説にあります。

音声を抽出する

# MP3として抽出
ffmpeg -i input.mp4 -vn -c:a libmp3lame -b:a 192k output.mp3

# AACとして抽出
ffmpeg -i input.mp4 -vn -c:a aac -b:a 128k output.aac

→ ブラウザで試すなら音声抽出ツール

GIFアニメに変換する

# 高品質GIF(palettegenを使用)
ffmpeg -ss 0 -t 5 -i input.mp4 -vf "fps=15,scale=480:-1:flags=lanczos,palettegen" palette.png
ffmpeg -i input.mp4 -i palette.png -ss 0 -t 5 -lavfi "fps=15,scale=480:-1:flags=lanczos[x];[x][1:v]paletteuse" output.gif

→ ブラウザで試すならGIF変換ツール

サムネイルを取り出す

# 指定時間のフレームを静止画として保存
ffmpeg -i input.mp4 -ss 00:00:05 -vframes 1 thumbnail.jpg

→ ブラウザで試すならサムネイル抽出ツール

音量を調整する(ラウドネス正規化)

# -14 LUFSに正規化(映像はコピー。-ar 48000 がないと音声が96kHzになる)
ffmpeg -i input.mp4 -af loudnorm=I=-14:TP=-1.5:LRA=11 -ar 48000 -c:v copy output.mp4

→ ブラウザで試すなら音量調整ツール

ブラウザで今すぐ試せるツール

次のツールは無料で、インストールせずにブラウザでFFmpegの処理を試せます。

やりたいこと ツール
動画を軽くしたい 動画圧縮ツール
GIFにしたい GIF変換ツール
音声を抽出したい 音声抽出ツール
サムネイルを取り出したい サムネイル抽出ツール
音量を整えたい 音量調整ツール

よくある質問

Q. ffmpegコマンドが見つからないと表示されます

ffmpeg -version でエラーが出るなら、インストールが終わっていないか、PATHが設定されていません。Windowsでは、上の手順で環境変数 PATH に追加します。追加した後は、コマンドプロンプトを開き直してから試してください。

Q. 変換後のファイルが再生できません

出力ファイルの拡張子を確かめてください。.mp4なら、映像はH.264、音声はAACの組み合わせが、最も多くの環境で再生できます。次のコマンドで、この組み合わせに変換できます。-pix_fmt yuv420p は、ほとんどの機器が再生できる色の形式にそろえる指定です。

ffmpeg -i input.avi -c:v libx264 -pix_fmt yuv420p -c:a aac -movflags +faststart output.mp4

Q. 処理が遅すぎます

-preset ultrafast を付けるか、GPUエンコード(GPUを使った圧縮)を試してください。ultrafast は速くなる代わりに、同じ -crf でもファイルがかなり大きくなります(圧縮の記事の実測では、標準の medium の約5倍)。GPUエンコードについてはハードウェアエンコードの記事を見てください。